頑張って仕事をした後に飲むビール、友達や仲間と楽しく会話しながら飲むお酒、好きな人とデートで飲みにいくバーのお酒、「お酒」は私たちの生活のありとあらゆる場面で密接に関わり合っています。そんな中、お酒を使ったビジネスを始めたいと思う人も多々いることでしょう。お酒を使ったビジネスを始めるには免許が必要ですが、ちまたでは「酒類販売管理者研修を受講すれば簡単に免許が取れる!」という誤った情報も耳にしますが、実際、酒類を扱うために必要な免許の申請は複雑です。なので、まずは、申請をするにおいて必要な要件は何なのかというところを説明できればと思います。
このブログはこんな方におすすめです! 「脱サラして大好きなお酒の販売をしたい!」 「コンビニ経営を始めようとしていて酒類小売業免許をとりたい」 「酒類ビジネスを始めたいが何からすればいいかわからない」 「大好きなお酒を使ったビジネスがしたい!」
このブログでわかること
- 一般酒類小売業免許とは
- 申請に必要な要件とは
- 一般酒類小売業免許とは
酒類を継続的に販売するには酒税法に基づき、酒類を販売するごとにその販売場の所在地の所轄税務署長に「酒類販売業免許」の申請を行い免許を受ける必要があります。免許の種類は複数あり、販売方法等について分かれます。今回のブログでは、行政書士への依頼が多い「一般種類小売業免許」に絞って解説をしていきたいと思います。「一般酒類小売業免許」とは、消費者又は酒場・料理店等の酒類を取り扱う接客業者等に対し、原則として全ての品目の酒類を小売することができる販売業免許が、「一般酒類小売業免許」です。一般の消費者に向けて、飲食店に向けてビジネスを始めたい人が取得すべき免許となります。
2.申請に必要な要件とは
一般酒類小売業免許を得るために申請してから免許交付までの大まかな流れは以下の通りです。
税務署(酒類指導官)への事前相談
↓
申請書・添付書類の収集、作成
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販売場の所轄税務署へ提出
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審査
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免許交付
申請後の審査は基本的に申請順で行われます。新規申請の場合、基本的に二ヶ月は申請してから免許交付までに要すると考えた方がいいです。
審査が通るには四つの要件が必要です。国税庁の手引書にも記載されていますが、①人的要因、②場所的要因、③経営基礎要件、④需給調整要件の四つです。以下でそれぞれ詳しくどのような要件が課されているのかを見ていきたいと思います。
①人的要件(酒税法10条1号から8号)
人的要因は以下にああげる八つの事項に該当していなければ要件を満たしています。
1号
酒類製造業免許、酒類販売業免許、または、アルコール事業法の許可の取消処分を受けた、あるいは、取消されてから3年が経過していない
2号
法人の免許取消処分を受けた日以前1年内に、その法人の業務執行役員であった者で、取消処分を受けた日から3年を経過していない
3号
未成年者等で法定代理人が欠格事由(1号、2号、7~8号)に該当する
4号
法人申請の場合で、役員が欠格事由(1号、2号、7~8号)に該当する
5号
製造場の支配人が欠格事由(1号、2号、7~8号)に該当する
6号
免許の申請前2年以内に、国税または地方税の滞納処分を受けている
7号
国税・地方税に関する法令、酒類業組合法、アルコール事業法の規定により罰金刑に処せられ、または、国税通則法等の規定により通告処分を受け、刑の執行を終えた日から3年を経過していない
7号の2
未成年者飲酒禁止法、風俗営業等適正化法、暴力団員不当行為防止法、刑法、暴力行為等処罰法により、罰金刑が処せられ、刑の執行が終わった日から3年を経過していない
8号
禁固以上の刑に処せられ、刑の執行が終わった日から3年を経過していない
②場所的要因
酒税法10条9号に「正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に製造場または販売場を設けようとする場合」でないとき、要件を満たしているとされます。こちらの要件は、課題となることが多いため、慎重に判断する必要がある。具体的にどのような要件なのかを国税庁の手引きを参照すると以下のようになります。
➀申請販売場が、製造場、販売場、酒場、料理店等と同一の場所である場合
➁申請販売場における申請者の営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性その他販売行為において他の営業主体の営業と明確に区分されていない場合
これらに該当する場合、場所的要件を満たさないとされています。次に、個々の具体的事例に当てはめてみると以下のようになります。
・販売場が申請者の自己所有の戸建ての場合
事務所スペースや酒類の保管場所が確保されていれば特に問題はない
・販売場が申請者の自己所有のマンションの場合
申請するにあたって酒類指導官から事業を行うことに対して承諾書を管理組合や住民から得るように求められる
・販売場が賃貸のオフィスビルの場合
賃貸借契約書の内容確認と物件所有者の承諾を得ておく必要がある。バーチャルオフィスやレンタルオフィスの場合で、申請者の机が固定されていない場合は販売場としての安定性と独立性を描くという観点で要件を満たさないとされてしまうこともあるので注意したいところです。
・販売場が賃貸のマンション、アパートの場合
この場合は基本的に賃貸借契約の目的が「居住用」になっていることが多いため、物件所有者や不動産管理会社への相談と承諾が必要になってきます
③経営基礎要件
酒税法10条10号をみると「免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合のほか、その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないこと」というのが要件とされています。
これを大きく分けると、申請者の資産状況と酒類ビジネスを始めるにふさわしい経験能力の有無に分かれます。前者は該当してはならないもの、後者は充足しなければならない事項が列挙されています。
前者は具体的に次の要件に該当すると経営の基礎が貧弱であると認められることになります。
イ 現に国税又は地方税を滞納している場合
ロ 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
ハ 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額(注)を上回っている場合
ニ 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額(注)の20%を超える額の欠損を生じている場合
「資本等の額」とは、資本金、資本剰余金及び利益剰余金の合計額から繰越利益剰余金を控除した額をいいます。
ホ 酒税に関係のある法律に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合
へ 販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除却又は移転を命じられている場合
ト 申請販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合
後者は手引書に列挙されているだけでなく、総合的に判断される厳しい要件であります。主に「経営経験」と「酒類ビジネスの経験の有無」について問われます。
基本的に経営経験がないサラリーマンが脱サラして酒類ビジネスを始める場合は原則申請は通らないです。ただし、過去に個人事業主としての経験が複数年あればクリアできることがあります。
この場合は、他に経営経験のある人に役員になってもらうことでクリアできることもあります。
「酒類ビジネス経験の有無」については、酒類製造や販売の業務に引き続き3年以上従事したものという要件もありますが、この経験がない場合は「酒類販売管理者研修」受講の有無、ソムリエや利き酒の資格の有無や、飲食業における酒類提供経験の有無も考慮されます。
④需給調整要件
酒税法10条11号に「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合」に該当しないことが要件とされています。具体的には、申請者が、設立の趣旨からみて販売先が原則としてその構成員に特定されている法人又は団体、酒場、旅館、料理店等酒類を取り扱う接客業者でないことが必要となります。どこからいくらで仕入れて、どこにいくらで仕入れるのかを明確にする必要があり、仕入れ先に当てがない場合は免許を取得することはできません。
酒類ビジネスの免許を取得するには厳格な審査があり、それらを通過しなければビジネスを始めることができません。このブログを見ている方ですでにビジネスをスタートさせるために物件を借りたり、品揃えをしたりと準備している人もいると思います。しかし、申請が通らないせいで免許を持つことができず、そして、ビジネスを開始することができずに、それらの費用が無駄に終わってしまう可能性があります。複雑な申請をプロにお願いしたい、確実に申請を通して免許を得たいという方は以下ホームページもしくはお問い合わせページよりお問い合わせください。