前回、特定技能の2種類の違いについて説明した際に、1号特定技能外国人を雇用する際に「1号特定技能外国人支援計画」を作成しなければならないと説明しました。今回は、それが具体的になんなのか、また、記載事項はなんなのかについて解説したいと思います。

 

このブログはこんな人におすすめ

・特定技能外国人を雇用しようとしている事業主

・支援計画作成を自力で進めようとしている方

 

このブログでわかること

・「1号特定技能外国人支援計画」の記載事項

 

記載すべき内容とは

  1. 入国前の留意事項の説明

外国人が日本において留意すべき点を事前に把握している必要があるため、事前ガイダンスを行わなければなりません。この事前ガイダンスは雇用される外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。説明はもちろん、外国人からの質問に対する応答も適切に行う必要があります。

具体的には以下の内容を提供する必要があります。

・従事する業務内容、報酬の額その他労働条件に関すること

・日本において行うことができる内容

・入国にあたっての手続きに関すること

・補償金の徴収、契約の不履行についての違約金契約等の締結の禁止

・入国の準備に関し外国の機関に支払った費用について、当該費用の額及び内訳等を十分に理解して支払わなければいけないこと

・支援に関する負担をさせないということ

・入国の際の送迎に関すること

・住居の確保の支援に関すること

・相談・苦情の対応に関する内容

・特定技能所属機関等の支援担当者氏名及び連絡先

 

※「支援に関する負担」とは

例えば、事前ガイダンス、生活オリエンテーション費用や出入国の際の送迎の交通費等が該当します。これら、義務的費用は特定技能期間が負担すべきものとなっています。

 

  1. 出入国の際の送迎

新たに在留資格を取得して日本に入国する外国人に対しては、到着する港や空港で出迎え、事業所や住居へ送り届ける義務があります。また、契約終了後の出国時も同様に港や空港まで送り、保安検査場まで同行して出国を確認しなければなりません。

 

  1. 適切な住居確保、生活に必要な契約に係る支援をすること

住居支援について

外国人が自力で住居を借りるのにはかなりハードルが高いです。なぜなら、保証人を用意できないことや外国人に家を貸したくないオーナーも多いからです。そのため、住居の確保のための支援はかなり大切なことです。

適切な住居とは部屋の広さが1人当たり7.5 ㎡以上のことを指します。一定の条件に当てはまらない限りこの程度の部屋を用意しなければなりません。

 

生活支援について

生活に必要な契約には、ガス・電気・水道といったライフラインの確保や、金融機関、携帯電話などの利用契約が該当します。それぞれの契約について情報や必要書類を提供し、契約方法を案内しましょう。必要に応じて手続きに同行し、サポートを行うことも求められます。

 

  1. 生活オリエンテーションの実施

外国人が日本に入国した後に日本についてのルールやマナーの情報を提供しなければなりません。具体的には下記の事項です。

(1) 本邦での生活一般に関する事項
(2) 法第19条の16その他の法令の規定により当該外国人が履行しなければならない又は履行すべき国又は地方公共団体の機関に対する届出その他の手続
(3) 特定技能所属機関又は当該特定技能所属機関から契約により1号特定技能外国人 支援の実施の委託を受けた者において相談又は苦情の申出に対応することとされて いる者の連絡先及びこれらの相談又は苦情の申出をすべき国又は地方公共団体の機 関の連絡先
(4) 当該外国人が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関に関する事項
(5) 防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項

(6) 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法

その他当該外国人の法的保護に必要な事項

 

  1. 公的手続きに関して

上記(2)の具体的内容は税金、マイナンバーなどの公的手続きに関しての情報提供をすることを指します。これらの手続きを円滑に進められるようにサポートする義務があります。

 

  1. 日本語学習機会の提供

特定技能1号の要件に一定の日本語能力という要件があり、職務上支障がないレベルの日本語力を持っているが、日本で生活していくために、継続的に日本語の支援を行っていく必要がある。そのため、受け入機関では日本語の学習機械の提供が義務付けられている

 

  1. 苦情・相談への助言等の義務

特定技能外国人が仕事の悩み、私生活での悩みをしてきた場合には遅滞なく、適切に対応しなければなりません。相談したことにより職場などで不当な差別を受けることが内容に配慮する必要があります。

 

  1. 外国人と日本人の交流の促進にかかる支援をすること

地域において日本人と交流する機会を促進することにより特定技能外国人の孤立を防ぐという目的があります。具体的には、地域のお祭りへの参加、自治会への参加などが挙げられます。また、特定技能所属機関は地方公共団体から外国人に関し、共生社会の実現のために実施する施策に対する協力を求められたら必要な協力をする責務があります。例えば、地域のイベントや、日本語教室、防災訓練やゴミ出しのルールなどがあげられます。文化が違う者同士が快適に過ごすために必要な支援だとわかります。

 

  1. 転職支援

特定技能外国人の責めに帰すべきではない理由で雇用契約を解除された場合(倒産や人員整理など)には転職支援を行わなければなりません。

具体的には以下の通りです。

  1. 次の就職先に関する情報を入手し、提供する
  2. 終翌先を紹介する
  3. 推薦状を作成する
  4. 有給休暇の付与やシフト調整を行うなど

 

  1. 定期的な面談の実施

「支援責任者又は支援担当者が当該外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し、労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していることその他の問題の発生を知ったときは、その旨を労働基準監督署その他の関係行政機関に通報すること。」とされているので、雇用先の代表者等と面談の実施が必要です。

 

以上が1号特定技能外国人支援計画の記載事項になります。雇用される側である立場にある外国人が不当な扱いを受けて苦しむことがないように、また、異国の地で働く外国人が悩みを抱えたまま生活しないように予防する作用があるのがこの支援計画となります。当事務所では1号特定技能外国人支援計画のサポート等を行なっております。お気軽にお問い合わせください。

 

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