日本版DBSは任意でも認定を取得すべきか?
日本版DBS(犯罪歴確認制度)については、学校や保育園など「義務化される分野」が注目されがちです。
しかし実務上、より判断が難しいのは学習塾や習い事教室など、任意でしか認定を取得できない事業者ではないでしょうか。
本記事では、「義務ではないのに日本版DBS認定を取得すべきか?」という論点について、事業者目線で整理します。
日本版DBSとは何か
日本版DBSとは、子どもと継続的に関わる業務に就く人について、過去の性犯罪歴等を確認する制度です。
イギリスで導入されているDBS(Disclosure and Barring Service)を参考に、日本でも制度化が検討されています。
現時点では、学習塾・習い事教室・スポーツクラブなどの民間事業者については任意取得となる見込みです。
任意制度だからこそ生じる問題
任意制度である以上、認定を取得しなくても違法ではありません。
しかし、制度が広く知られるようになると、次のような状況が想定されます。
- 「認定がない=安全対策をしていないのでは?」という印象
- 保護者から取得状況を質問される
- 競合教室との比較材料にされる
つまり、任意であっても“取らない理由”の説明が求められる時代になる可能性があります。
日本版DBS認定を取得するメリット
① 保護者への信頼性の可視化
教育内容や指導実績は、外からは分かりにくいものです。
日本版DBS認定は、子どもの安全に配慮している姿勢を一目で伝えられる材料になります。
② 競合との差別化
同じ地域・同じ価格帯の塾や教室が並んだ場合、最終的な判断材料は「安心感」になることが少なくありません。
任意認定の取得は、選ばれる理由の一つになり得ます。
③ トラブル発生時のリスク低減
万が一トラブルが起きた場合でも、
- 制度があるのに何もしていなかった
- 任意だが積極的に対策していた
この差は、社会的評価・説明責任の面で大きな違いを生みます。
任意取得のデメリットと注意点
① 採用が難しくなる可能性
講師不足が深刻な業界では、犯罪歴確認が採用のハードルになることがあります。
特に大学生講師や短期スタッフを多く抱える事業者は注意が必要です。
② 「認定=安全」という誤解
日本版DBSは、過去の犯罪歴を確認する制度であり、将来の行動を保証するものではありません。
制度に頼りきりになり、日常の管理や目配りが疎かになることは本末転倒です。
結論:事業規模と立ち位置で判断すべき
日本版DBS認定を任意で取得すべきかは、一律の答えがある問題ではありません。
取得を前向きに検討すべきケース
- 教室規模が大きい
- 講師が複数在籍している
- ブランド・信頼性を重視する事業
慎重に検討すべきケース
- 個人経営・少人数運営
- 家族経営に近い形態
- 採用の流動性が高い
重要なのは、「義務かどうか」ではなく、自社の事業モデルに合っているかという視点です。
任意制度時代に求められる説明責任
今後、日本版DBSが社会に浸透すれば、
- なぜ認定を取得しているのか
- なぜ取得していないのか
いずれの場合も、合理的に説明できることが重要になります。
認定の有無そのものよりも、判断理由と安全対策の全体像が問われる時代になると言えるでしょう。